【 梓 】 | 「くっ、ううっ……はぁ、はぁっ……うぐっ……」 |
分娩台に四肢を固定された梓の唇から、押し殺した苦悶の声が漏れる。 |
|
【 阿久津 】 | 「くくっ……今から梓さんはオークの母胎(マザー)になるのです」 |
【 阿久津 】 | 「どんな子供が生まれてくるのか、実に楽しみですよ」 |
【 梓 】 | 「ハァ、ハァ、阿久津っ……くっ、うぅぅっ!」 |
真横に立っている阿久津を睨みつけていた梓の声が、陣痛の痛みに遮られる。 |
|
【 梓 】 | 「ふぐっ、んおっ、ん゛っ、おぐっ、ううううっ!」 |
お腹の中で子供がモゾモゾと蠢き、子宮が収縮するたびに、失神しそうなほどの痛みが全身を駆け抜ける。 |
|
【 梓 】 | 「ふぅふぅ、ひぐっ……んふっ、ハッ、ハァハァ、くっ、うっ、んぅうっ!」 |
痛みと恐怖のため、口から漏れそうになる悲鳴を梓が懸命に堪えていた……そのときだった。 |
|
【 ?? 】 | ≪マ……マザァ……≫ |
【 梓 】 | 「ハァ、ハァッ……えっ?」 |
突然、頭の中に響いてきた不気味な声に、梓が伏せ気味にしていた顔を上げる。 |
|
【 ?? 】 | ≪……マザァァッ……≫ |
【 梓 】 | 「こ、この声は……」 |
【 阿久津 】 | 「どうしました?」 |
ぽかんとしている梓の顔を、阿久津が覗き込んでくる。 |
|
【 梓 】 | 「あっ……」 |
ふと嫌な予感を覚えた梓が、大きく膨らんでいる自分のお腹を見つめる。 |
|
【 ?? 】 | ≪マザー……アイタィ……≫ |
【 梓 】 | 「ひっ……いっ、いやぁぁぁぁっ!!」 |
声の主がお腹にいる胎児だと気づいた瞬間、背筋をゾワゾワと悪寒がはしる。 |
|
【 梓 】 | 「ふんぐっ!? お゛っ、ん゛ぉぉぉっ!!」 |
梓のお腹の中で股間側に頭を向けた胎児が、小さな手を使い、自ら子宮口をこじ開け始めた。 |
|
【 梓 】 | 「だめっ……んひぃぃっ、子宮の入り口、広げないで! ハッ、ひぁっ、裂けちゃうううっ!」 |
あまりの痛みと恐怖に、梓の口から大きな悲鳴が漏れる。 |
|
【 梓 】 | 「あ、赤ちゃんの頭がっ、はひっ、んひぁっ、子宮をくぐり抜けてっ……んひぃぃぃっ!」 |
胎児は限界までこじ開けた子宮口に頭をねじ込み、そのまま骨盤を通って膣道まで出てこようとする。 |
|
【 梓 】 | 「ひぐっ、んおおおっ、い、痛いのっ、ふぐっ、うぁぁっ、死ぬっ……死ぬぅっ!」 |
【 阿久津 】 | 「このままでは少々、危険ですね」 |
【 阿久津 】 | 「母体が死んでしまっては胎児にも影響が出るかもしれません。すぐに投薬の準備を……」 |
モニターを通じて梓の体調を確認していた阿久津が、周囲にいる科学者たちに指示をしようとした、その時だった。 |
|
【 ?? 】 | ≪マザー……イタイィ?≫ |
【 梓 】 | 「ヒッ、ヒハッ、ハッ……えっ!?」 |
梓の頭に、ふたたびあの声……胎児の声が響いてきた。 |
|
【 ?? 】 | ≪ダメ……マザー……シナセナィ……≫ |
【 梓 】 | 「んおっ……お゛っ、お゛ふっ!!?」 |
次の瞬間、まるで電気の配線を入れ替えたように、下腹部から伝わってくる痛みが快感へと変わった。 |
|
【 梓 】 | 「ど、どうして……ひぐっ、んほおおっ、ほぎっ、おぎぃぃぃっ!?」 |
脳神経がバチバチとショートを起こしそうなほどの快楽に、梓の口から獣のような声が漏れる。 |
|
【 阿久津 】 | 「ほう、これは面白い」 |
【 阿久津 】 | 「どうやら臍の緒を通して、胎児が梓さんの体に影響を及ぼし始めたようですね」 |
絶叫する梓の横で、阿久津はいかにも興味深げにモニターの計測値を眺めつつ、薄い口元に笑みを浮かべる。 |
|
【 梓 】 | 「ひょんなっ……おあっ、お゛っ、ん゛ふぉおおおおおっ!」 |
子宮の頸部をくぐり抜けよとしている胎児が体を動かすたびに、これまで経験したことのない快楽が全身を駈け巡る。 |
|
【 梓 】 | 「ひぐっ、おぅうううっ、これ、だめっ、おひぃぃっ、あっ、頭がおかしくなりゅ、んおっ、おおおっ!」 |
【 梓 】 | 「出産で感じるのなんて、嫌っ……ンヒィッ、嫌なのぉ! おひぁっ、ハッ、くひぃぃっ、あひぃぃっ!」 |
死にそうなほどの激痛がそのまま快楽へと変換され、梓の前身を劇毒のように駆け巡る。 |
|
【 梓 】 | 「んひぁっ、あ゛っ、あああっ、いぐっ、いぐいぐいぐっ! んふぅううううううっ!!」 |
イキっぱなしの状態になった梓の体がガクガクと痙攣し、膣口からブシュッ、ブシュッと立て続けに潮が飛び散った。 |